web業界に身をおきながら、自分のブログはいっさい更新しない。
そんな矛盾だらけの、放置サイトにときどき顔を出してくださる、たぶん僕のことをなんとなく知る皆様、ごぶさたしております。
前回エントリーから半年、あいてしまっておりますが、なんとか無事にやっております。
気づけば月刊誌の編集部を飛び出してから、もうすぐ丸1年がたつのですね。この間、本来やるべき、こと以外の経験をたくさんしてしまった気がするのですが、これもベンチャーなら仕方がないことかなとも思えております。
というわけで、きっとこのサイトをチェックしてくださっている、編集の仕事が好きだけど、漠然とした業界の先行きへの不安みたいなものを抱えながら、日々会社で長時間労働にいそしむみなさんに少しでも有益な情報をお伝えしたいなと、いかんなと思ったわけで。この1年間で僕が感じた出版人が感じたweb業界への転職体験みたいなものをお伝えしたいと思う。
まず、確実にいえること。もしあなたに雑誌や書籍での編集スキルがあるなら、web業界で仕事をするのはたやすいことであるということ。業界に飛び込んで一番感じることは、大手から、なにから、とにかく自分たちでコンテンツを作ることをしない、できない、しようとしない。某なんとかhooにしても、何にしても、自社で制作費をかけて企画し、取材し、という発想はない。あるものを使い、そこにあろうことか、お金をつけようとする。そこでいう"あるもの”というのは、雑誌をはじめ出版メディアなどが持っているコンテンツ。流用したい、組み込むことばかりにやっきになっている。誰かがいっていたが、webページはつくるだけではお金は産まない。雑誌は出版されれば、情報という価値とリアルの物としての価値に、読者や企業はお金を払う。しかし、webは公開されただけでは、お金を一円も産まない。見られなければ存在しないのと同じ。そんなことを考えると、たしかに見えないものに先行してお金をかけることは、難しいことなのかもしれないが、とにかくタカリとも思える会社がなんと多い事か。それは出版のweb部門に身をおくから特に感じることなのかもしれないのだけれど。
例えば、このサイトは面白いな。そんな風に素直に読者として感じるサイトがどれだけあるだろう。周りの人に聞けばそれは、フイナムやハニカムと答える人もいるだろう。が、本来的にそれを上回る人材をかかえる大手出版社がwebにおいては、本の目次を毎月しこしことアップするだけなのだ。男性誌が次々に姿を消す(titleもきえちゃいましたもんね、、、)中で、出版も決して楽観などできるはずもないのに、webのコンテンツが本当に雑誌を駆逐するなんてことは、ないとおもえてならない。
たしかに速報性や動画表現など、二次元の紙ではおよばない領域をもつwebの可能性はかんじるものの、構造的にweb独自のマガジン、コンテンツは成立しえないのではないか。だからこそ、コンテンツを生み出す、発想できる者をいつもこの業界は必要としていると感じる。
ブログの本は売れている。誰もがメディアになりうるという意味で、ブログは僕らの学生時代にあったら、どんなにか自分の可能性を感じてしまうのだが、結局はたよりはマンパワーであって、そのソリューションを評価するのはどうも、違うように思えてしまう。今ベストなWEBサイト100を挙げると、90年代のように個人サイトの名前があがってこない。お金をかけて本気でつくっている企業サイトが生き残り、興味をもたれないその他おおぜいのダメサイトの山。そのタヨリの企業サイトも一部をのぞけばECサイトや地図やニュース系など実用系、企画力を感じることは少ない。
web独特の知識やなにやらにしても、紙の複雑さやアプリケーション、さらには編集者としてのコピー能力さえあれば、ものの数週間で得とくできる類であると感じる。単に僕のいる職場だけなのであるが、デザインセンスのないものがデザインを手がけ、ライティング経験のないものが記事を書く、とにかくこのプロだなと感じることのできる人材のなんと乏しいことか。だましだましできてしまう、やってしまえる世界。そんな風に思えてならない。もちろんそうでないサイトも上にも挙げたがあるのだけれど、。
だから、臆する事なく飛び込むべきだと思える。写真の美しいサイト、そんなことがウリにできてしまうほど、未だにwebは発展途中で、編集者としてのスキルがどれほど求められているか、そこに入ればばわかるはずなのだ。